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 「そうか…やはり、覚えていなかったか…」
黙って差し出されたアルバムを前に、父は静かに言った。
 「あの当時、お前の様子がおかしいとは思っていた。話の辻褄が合わなかったり、
  …事故の直後だったこともあろうが」
 「事故…」
うすうす見当はついていた。しかしネジには・・・

 「お前が7歳の時だった。交通事故で、私の弟…ヒザシは他界した。
  助手席の細君も亡くなり後部座席にいた一人息子のネジは一命を取りとめたが…事故のショックか、
  …記憶があいまいになったり混乱したりというのはよくあることと言われてな…」

しかしネジには…まったく心の準備ができていなかった。

 「お前を養子に迎え、元来ヒナタとは仲が良かったしこの家には何度も遊びに来ていた。すんなり溶け込んで
  もらえたものと…いや、そう思いたかったから、様子がおかしいと知りながら何の対処もしなかった」

不覚にも、握り締めた手が震えていた。
初めて聞く父の他人行儀な声。
 「・・・すまなかった…」
初めてじゃない。この声で話しかけられたことはあった。
父の存命中に、かわいい従妹のお父上が、こうやってネジに話しかけた。
他所の家の子に声をかけるように…。

その声で謝らないで欲しい。知りたくなかった。
この父の息子じゃなかったなんて。
ヒナタの兄じゃなかったなんて。
いつもいつも
 「ネジ兄さん」
 「ネジ兄さん~」
 「ネジ兄さんっ」
 「ネジ兄さん…」
と甘えてくれる可愛い妹の、
この世で唯一愛してる妹の、兄貴じゃなかったなんて・・・

もう、
①「だ、だめ…私たち、兄妹なのにこんなこと…」って言われたり
②親の声にドア越しで応対しながらスリルセクロスしたり
③しっぽりしけこんでる所を目撃されて『何ということを…実の兄妹でry』と言われたり
④父に殴られて妹に庇われて「やめてお父様!私たち愛しあってるの!」って言われたり
⑤家を捨てて二人だけでどこか遠くへ逃げてひっそり幸せに暮らしてゆくことは
もう二度とできないのだ(一度もしたことないが)


 「じゃ、じゃあ…」
口を開いたら声が出なかったので一度咳払いをした。動揺してると思われたくないが体が言うことを聞かない。
 「家族の中で、オレだけ…血がつながっていないのですね」
厳密に血縁がないわけではない。
当然そう言われるかと思ったのに、父はなんの弁明もしなかった。
ただ、
 「・・・例え、お前がそう感じたとしても…私はお前を息子と思っている。
  お前さえ良ければ、今まで通り私を父と、ヒナタを妹と思ってここで暮らして欲しい。
  いつかお前が立派な青年に育ち、いい人を見つけて結婚して…新しい家庭を持つまで…」
と言った。
ネジはカミナリに撃たれたような衝撃を受けた。

―――――結婚…?

 ①オレ
   ∟②(旧)父
        ∟③その兄
           ∟④その娘


 「ネジにいさん~~ヒナタね、おっきくなったらネジにいさんのおよめさんになるの!」
突如頭に響く、マイリトルヒナタのエンジェルボイス。
あの時はえへへと笑って何も言えなかったが、考えてもみなかった。

『従兄妹同士は、結婚できる』

合法的に。
考えたこともなかったが、
リーとテンテンのように人前でデートしたりイチャついたりキスしたり同級生からひゅーひゅー言われることも、
兄妹じゃないなら自然にできるのだ。

ヒナタに言い寄る男に「オレの妹に手を出すな」より「オレの女に手を出すな」と言うことも、
何年もダラダラと一緒にいたのにある日突然レストランで「結婚してくれ」と求婚することも、
いつか子供が生まれて父が祖父になってサザ○さんのように末永く幸せに暮らすことも、
兄妹じゃないなら…自然にできるのだ!

 「父さん、話してくれてありがとうございます。」
ネジは晴れ晴れとして言った。
 「養子縁組は解消できるものなのですか?」

 「ネジ兄さんのバカ!!何言ってるの?!信じられない!!」
そのすぐ後のことだった。
ふすまをスパーンと開けて、ヒナタが叫んだ。
 「信じられない…今まで一緒にいて、お父様にあんなに大事にしてもらって、感謝とか、…ないの…?
  どうしてそんなこと言えるの…?!」
ヒナタの目から、大粒の涙がぼろぼろとこぼれた。

 「ヒナタ、」

父にそう言われて無視して続けるなんて普段のヒナタじゃありえないのに
 「だって、だって今までずっと…服だって学校だって、私以上にお金かかってるのに、ほ、本当のこと知ったからって」
 「ヒナタ!!」

父はヒナタを引っ叩く勢いで制止した。
こんなヒナタを見るのは初めてだった。
わかってる。
父もヒナタも、ネジを引き取ったことで生じた負担など負担に感じたことは皆無だろう。
それでも今のヒナタは醜かった。まるで遺産相続話をしてるガメツイ中年女のように醜かった。
なのに泣きながら駆けていくヒナタをごく自然に追いかけてしまう。
あんなに軽蔑され、怒りに震える視線を浴びても、抱きしめて慰めたいと思ってしまう。

 「ネジ」
そのネジを父が呼び止めた。
 「お前の気持ちは知っている。それなのに将来の話まで出して悪かった」
 「父さん…」
気持ちは知ってる。隠してたのに…ややショックだ。
 「お前には選択肢があると言いたかっただけだ。よく考えて選べばいい。先程の件は調べておく」
ネジは敷居の前で正座して手をついた。
感謝と謝罪を伝えたいと思ったが一言も言葉にならず、
ただ深く頭を下げるのみでヒナタを追いかけた。
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たくなる時もある自称ネジ→ヒナ屋。 
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