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 よく似た二人だコレ…。



「あーもーハナビの誕生日終わっちゃうぞコレー!」
木ノ葉丸は帰り際、門の戸締りついでに見送りに来たヒナタに漏らした。
「ふふ…ありがとう木の葉丸くん」
「?」
「ハナビちゃんに代わってお礼を言ったの。私、ハナビちゃんのお姉ちゃんだから。ね?」
「うん…ハナビとヒナタ姉ちゃん仲いいもんな!でもオイラ、 結局ハナビになにやったらいいかわかんなかったぞコレ…」
「一緒にケーキ食べてくれて嬉しかったんじゃないかな…」
「そんなの誕生日のプレゼントになるのかコレ?」
「私はなると思う。ハナビちゃん楽しんでいたし…私も楽しかったよ」
屈託なく微笑んでくれるヒナタに、やさしーなヒナタ姉ちゃん…と一人っ子木ノ葉丸はハナビを羨む。
ちょっと照れて「へへっ」と鼻を擦りながら笑って、
「でも…ハナビのヤツ、ネジ兄ちゃんが来て楽しいどころじゃなくなっちゃったなコレ。」
「そうかな…ううん、あんな話だって…きっと、楽しいんだよ」
「たっ楽しい…のか?コレ…」
「そう、楽しいことの種類。外から見てるとちょっと心配しちゃうけどね」
くすりとふざけた様に笑う、珍しい表情だなあと思ったらすぐ真顔になって
「私は…少し羨ましい。仲がいいでしょ、ハナビちゃんとネジ兄さん。」
「なっ・・・かがいいというのか…」
木ノ葉丸は大いに困った。仲がいいようには見えなかったがアレは言うなればアレだ。
母ちゃんがゲンコツ出すまで収まらないアレだ。
あ、なんだ仲がいいのか。
いや、でも…と難しい顔になる木ノ葉丸を覗き込みながら
「ハナビちゃんね、いつも言ってるでしょう?早く上忍になりたい…って。」
「あ、うん。言ってる。」
「あれは、早くネジ兄さんみたいになりたいって言ってるのだと思うの。」
「ああ…」
と木ノ葉丸は、「納得」と「う~ん?」の間をとって「ああ」と答えた。
ハナビがネジみたいになりたいと思ってるのは見当違いではないが正しくもないような気がする。
「そのうち、早く男になりたいって言い出したらちょっと困っちゃうけど」
という思いつきが面白かったのか、言い終わらぬうちにあははと笑う。こないだハナビが
『あー男に生まれたかったなー』
と言ってるのを聞いてた木ノ葉丸はちょっと寒かった。



  ___ 日向家の異変 ___



木ノ葉丸と猿が家路を辿る頃、ハナビは風呂上り熱った身体を縁側で休ませていた。
今日は姉の部屋で寝る約束になっている。
(別に誕生日じゃなくたって言えばいつでも一緒に寝てくれそうな姉だが)今日だけ特別に
姉の部屋にあるテレビで、布団に入りながら遅くまで映画を見てもいいってことになっている。
誕生日だからとはしゃぐ年でもないがこのスペシャル企画は昨日から楽しみにしていたハナビ、
夜更かしするために体力を温存してたつもりだったのに急に疲れと眠気に襲われ、動くのも億劫になる。
姉の部屋の前だから、もし寝ちゃってもすぐ起こしてもらえるからいいや。と心置きなくうとうとし始めた。

時を同じくして宗家屋敷の片隅、主に独身の分家忍者が寄宿する塾舎の一室。
ネジは疲れた身体で(しかもご馳走を食べそびれて)猛烈な疲労感と脱力感そして睡魔に襲われていた。
非常食のようなものだが一応夕食はとったし風呂にも入った、もう今日という日に思い残すことはない。
抗い難い眠気を任務中の二日間ろくに寝ていなかったせいと納得して早々と床に就き、そして夢を見た。


「ネジ兄さん」
鈴を鳴らすような声が近付いてくる。板の間を踏み鳴らす音が背後で止まり、
「もう…こんなところで寝たら風邪引くよ?」
両肩に暖かい手の感触。顔を覗き込まれて、目の前に紫苑色の髪が垂れる。ふわりとせっけんの匂い。
まだ眠い面持ちで見上げると、ヒナタは天使のように美々しく微笑んで
「ほら、早く寝ましょう」
と手を引かれた。
入った部屋には布団が敷いてある。
ネジの記憶とは内装が違うが位置的にここはヒナタの部屋だ。
ヒナタは掛け布団をめくってネジを「いらっしゃい」と招く。

・・・どんな夢見てんだオレ。
自分に呆れながらもごく自然に、ヒナタが空けてくれた隙間に体を滑らせた。
あたたかいやわらかいいいにおい。ネジはたまらずヒナタの体を抱きしめる。
ヒナタはそれに応えて伸ばした手で、ネジの背中をとんとんと優しく叩いた。
嗚呼極楽。さすがオレの夢。
「ネジ兄さん?」
気遣わしげに名を呼ぶヒナタの声。抱きついたまま黙っていると、
ふっと笑った気配の後、ネジをぎゅっと胸に抱き優しく髪を撫ぜた。
「お疲れ様、かわいいネジ兄さん。今日もとってもいい子だったね…」
・・・・・・
まったく引っかからなかったわけではないがせっかくこんないい夢を見ているのだ、素直に「はい」と答えてみる。
髪の毛の上を滑るヒナタの指が、えもいわれず心地いい。懐かしい幸福感に腹がぞくぞくする。
「ネジ兄さんは、お友だち思いだしお勉強もがんばってるし…きっとうまくいくよ。例えあなたの望む結果にならなくても。」
あなたは私の自慢の妹です。
その言葉で、ネジは目覚めた。

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