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ハナビの絶叫は音に出ず、ただネジの細胞という細胞に響き渡るだけだった。



「まったく何でこんなことに…」
ハナビは黙々布団を片付けながら自分の声によるネジの恨み言を聞いた。
ハナビちゃんが入らないのなら、とヒナタが朝餉の支度に向かった後、ヒナタの部屋にはネジとハナビが残された。
「部屋は片付けておきますから」
と言ったネジの手がヒナタの寝具に触れることをハナビは承諾し難く、ネジに障子を自分が室内をと分担したのだ。
とはいえそれは、自分が操るネジの上肢がヒナタの布団をたたみ枕の後片付けをしている絵ヅラに他ならず。
「何でこんなことに」とボヤきたいのはハナビも同じだ。



  ___ ネジの日常 ___



「早く上忍になりたかったのだろう?」
目が覚めたとき、枕元にいたその猿は言い放った。
「木ノ葉丸から一日遅れの誕生日プレゼント。」

 ・・・・・ハイ?!

『ハナビの欲しいものって何だ?コレ?何だっていいんだぞコレ?』
「ふっっふっざっけるな!!元に戻せコノヤロー!!!」
回想しながらハナビは思う。あの時あの猿を取り逃がしたのは痛かった。
だが所詮猿飛家の猿、木ノ葉丸を当たればフン捕まえるのは容易だろう。
問題はその後だ。元に戻せと言って戻せないと返されたらどうしよう…
ハナビは空恐ろしくなった。
こんなこと、望んでない。
しかもネジさんが私になっちゃうなんて…

ネジが短くなった手足で障子と取っ組み合い、なんとか元に戻し終えて盛大なため息をついた。
ハナビは突如として罪悪感にさいなまれる。
自分以上に、ネジはこんなこと望んでない。
いきなりハナビにされてさぞ困惑してるだろう。

・・・そういやネジさんはどこまで事情に通じてるんだろう。
「ねえ、猿…来ませんでしたか?」
半分試すような気持ちで聞くと「いいや」と素っ気無く言われる。
「木ノ葉丸は?」
「見てないが…それがどうかしたのか」
「い、いや、なんでもありません」
事情を話して猿を捕まえる手助けをしてもらえればと思わないでもないが…
彼が本当に困り果てているとしたら。
ただとばっちりを受けただけのこの男に、
この事態が自分の誕生日プレゼントだなんてとても言えない。

認めたくはないが、自分は今まで以上にネジより恵まれた境遇にいる。
何より何故こうなったか、そしてこの先何をしたらいいのかを知ってる。
まず、木ノ葉丸と猿を確保せねば…そう思った矢先である。

「まず朝食をとろう。たくさん食べて大きくならねば。」
「えっ…な、何ですって?」
ネジは(無理してるのかもしれないが)明るく言った。
「せめてもう少し体が大きくなければ。それから筋力と体力だな。」
「何だって…?!」
「失ったものを嘆いても始まらん。お互い出来ることをするしかないだろう」
「いやそれはわからないでもないですが?!前向きすぎでは?!!少しは戻ること考えたら?!!!」
「ほう…ではお前は何か、当てでもあるのか?」
う・・・と答えに詰まる。
言うなら今しかなくなってしまったではないか。
しかも当てがあるのかという質問に正確に答えられるかどうか疑問だ。
ハナビの二の句が出なくなったのを八方塞がりと思ったらしいネジは
「ちゃんと仕事しろよ」
と、励ますようにハナビの(見た目は自分の)肩をぽんと叩いた。
「え、し、仕事…?」
急に心細くなる。
ネジが普段どんな仕事っぷりかなんて知らないし興味もなかった。
上忍になりたいだなんて思っていながら、知ろうともしなかった…
そんなハナビの不安を察してか「今日は非番だが」と付け加えて
「オレも自分に出来ることをしておくとしよう」
あきらめたように微笑んだ。
「一緒にフ…いや、一緒に洗…いやいや、とにかく妹という特権を最大限に活用すッ」
がつん、という衝撃音はネジの脳に到達する前にぴちゃん、という水音に変わった。



「きれいな…肌ですね」
その背中は白磁のようにひたすら白く美しく、染み一つどころか産毛の存在すら忘れかけた。
絹糸のような後れ髪が、湯の流れる滝筋にそってキラキラと波打つ。
壊れてしまいそうな繊麗さと、人知を超えた芸術品を目にする瞬間だった。
「そ、そんなに見ないで…恥ずかしいよ…」
「そうか、すまない…つい目を奪われた。では洗いましょう」
手に乗せた泡をヒナタの肌に伸ばすと、確かに触っているのに一切の摩擦を感じない。
この世のものとは思えぬ滑らかさだった。
「ひゃっ!な、スポンジがあるのになんで素手で洗うの…ネジ兄さん」
「あまりにきれいなので。タワシで擦って傷がついたらいけないと思って。」
「傷…なんて、つかないから…ふゎ…っ」
ネジは後ろから、わき腹を下から上までなぞり上げた。顕著な反応が面白い。
「もう…ネジ兄さんっくすぐったいよ…」
抑制できない声が上がるのを堪えるヒナタは、まるで童女の様な鼻声で不満をもらす。
「こっちがくすぐったいぞ、ヒナタ様。」
我慢できずにネジは低く笑う。
もぞもぞ体を捩るヒナタの背中に胸を押し付け肩で挟んで、どこにも逃げられないよう動きを封じた。
「か、・・・からかっ…て、ひぅ・・・・やめてっ、てば…」
背中に触るには密着しすぎたネジの腕は、いつのまにかヒナタの腹部に回っていた。
へその上から胸の下まで、描くように優しく撫でさすると、筋肉の動きで彼女が息を止めているのがわかる。
「ヒナタ様…呼吸、忘れてませんか?」
「だ・・・って、・・・変な声、・・・出るからっ…」
「それはぜひ聞きたい。出してくれ」
「・・・・・っ」
それでも頑固に歯を食いしばる愛らしい姿に、
さていつまでもつのか崩落の瞬間が見ものだと観察しながら、
自分に固く戒めていたはずの不可侵領域へゆっくり手を伸ばした。




「くっくっくっく・・・・」
「それ、…我ながら超気持ち悪いからやめてください」
多分聞こえてないと思うけど。
畳に埋め込んだネジに捨て台詞を吐いた後、ハナビは猿飛家へと走った。

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